川角岳大 個展 「呼吸をとめて」
会期
2022年4月16日(土)〜5月15日(日) 土日祝のみ 12:00〜19:00
(4月16、17、23、24、29、30日、5月1、3、4、5、7、8、14、15日)
※ご来場の際には必ずマスクをご着用いただき、入口にて手指のアルコール消毒にご協力ください。新型コロナの諸症状がある方、体調の優れない方はご来場をお控えください。
展覧会紹介
Token Art Centerでは、2022年4月16日より川角岳大個展「呼吸をとめて」を開催します。 川角はこれまで、自身にとって身近な、しかし人間とは異なる環世界を持つ犬を象徴的なモチーフとして扱うなど、空間や対象の見方についての自身の考えを示すような作品を制作してきました。展示の多くで、絵画や立体、既製品を組み合わせたレリーフなど複数のメディアを用いて空間構成しているのが特徴でした。 一転、本展に出品されるのはすべて絵画作品です。これまでの川角作品を知る方であれば、絵画のみの展示構成、またメインビジュアルにも表れているアクリルの淡い色彩を意外に思われるかもしれません。 川角は2年ほど前に関東から三重へと居を移し、制作と並行して狩猟や魚突き、畑仕事を行いながら生活をしています。川角はそこで、これまで試みた空間や対象の見方についての実践を時間をかけて俯瞰しつつ、日々の生活を題材とした新たな絵画シリーズに取り組んでいます。今回の絵画に現れるモチーフはそうした三重での日々で経験したものです。素潜りで一度は捕らえた石鯛を逃してしまったこと。車の運転中に飛んでいる鳥と衝突してしまったこと。日がな畑で草むしりしたこと。空中で繰り広げられていたトンビとカラスの競り合いなど。川角はそれらのある印象的な一瞬をカメラのように切り取るのではなく、例えばその日の畑仕事全体、あるいは狩猟全体など、その経験全体を描こうとします。経験全体を想起しようとしたり、描こうとすることによって、どこかの一点あるいはいつかの一瞬に焦点が合わせられず、そのイメージは全体へと広がり掴みどころなくぼやっと不鮮明になってきます(さらにそのイメージの広がりは画面の外側にある生活へと繋がっていく)。 それはちょうど、眠っている間に見た夢が、起きてから思い出そうとすると、捕まえようとする(言語化あるいは記号化といった)網からするりと逃れて消失していってしまう経験に似ていると川角は言います。つまり思い出しながらではなく、むしろ忘れながら描くという制作のあり方。これは、これまで川角が執拗にこだわってきた対象の認識や空間を排した絵画の別の方法であるとともに、誰もが当たり前のようにできていると思い込んでいる絵を描くということの、つまり何かを見て、それを思い出し、2次元に置き換えるという一連の行為の不可思議さを逆の方向から考えてみようとすることなのかもしれません。 タイトルの「呼吸をとめて」には、目的地へ向かうまでの車の運転のように、普段無意識にコントロールしていることに目を向けるという、川角の現在の生活や制作に対する意志などが反映されています。川角は本展を通して、当たり前に可能と思われている見ること、描くことの奥底へ「呼吸をとめて」潜っていくことを私たちに求めています。
作家略歴
川角 岳大 Gakudai Kawasumi
1992年 愛知県出身 2014年 愛知県立芸術大学 美術学部美術科油画専攻卒業 2017年 東京藝術大学大学院 美術研究科修了 主な個展 2020年 「ミクリ」Lavender Opener Chair (東京) 「川底の葡萄」gallery N (愛知) 2018年 「タイミングの拍子」 fresh (埼玉) 主なグループ展 2021年「現代美術のポジション 2021-2022」名古屋市美術館 (愛知) 2020年 「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2020」岐阜県美術館 (岐阜) 2019年 「その先へ-beyond the reasons」駒込倉庫 (東京) 2018年 「small good things」HAGIWARA PROJECTS (東京) 2017年 「VOCA展2017」上野の森美術館 (東京) 2015年 「絵画の何か」MAT nagoya (愛知)








