大西香澄 個展
「Contents of absence」


会期

2022年7月16日(土)〜8月14日(日) 土日祝のみ 12:00〜19:00

(7月16、17、18、23、24、30、31日、8月6、7、11、13、14日)


※ご来場の際には必ずマスクをご着用いただき、入口にて手指のアルコール消毒にご協力ください。新型コロナの諸症状がある方、体調の優れない方はご来場をお控えください。

 

イベント情報



展覧会紹介

Token Art Centerでは2022年7月16日より大西香澄個展「Contents of absence」を開催します。
現代社会の中で大西自身が感じる所在なさ、不安、あるいは社会認知の困難。大西はそれらと向き合い、この複雑な世界の手触りを確かめるように、音声、機械人形、映像が連動するインスタレーション作品や、それらを舞台装置のように用いたパフォーマンス作品として表現してきました。
大西が感じる不安や所在なさとは、帰属する場所としての家庭、会社、国家などの組織へと自身が組み込まれることに対する抵抗と羨望の狭間にいる、その存在の不安定さに根差しているのではないかと話します。その根源的な不安は、真に自由であることと背中合わせであり、それはつまり社会と関係する私たちの実存に関わる問題でもあるのです。
あらゆる場所に帰属せず狭間を漂う存在は、大西作品において「ちゃいろ」と名付けられた毛むくじゃらの醜怪な獣として現れます。「ちゃいろ」は大西が高校生の頃から行っていたドローイングの中で自然と発生したと言い、ほぼ全ての作品に登場する重要なモチーフです。それは実社会とは異なる秩序にいる他者の象徴でもあり、そこには異なる時空に存在する人々、あるいは亡霊や目に見えない存在なども含まれています。大西作品は、この「ちゃいろ」が試みる、異なる位相にある圧倒的な他者とのコミュニケーション(あるいはディスコミュニケーション)を通して、展開されていきます。
近作《Have a nice day.》では、広島の原爆投下や福島の原発事故の当事者インタビューや日常風景を織り込んだドキュメンタリーから始まり、当時を生きた人々、未来を生きる人々、そしてそれらに挟まれた現在を生きる私たちへと「ちゃいろ」が、時空を超えて信号を送り、交感を試みます。その信号に対して応答はなくとも過去や未来が確かに存在し現在を支えていること、希望は現在を生きる私たちに開かれていることを示しています。大西は日々を生きる上での感受を起点としながら、様々な存在のありようや苦難の中にある希望を私たち歌ってみせるのです。
本展タイトルは「Contents of absence」。大西は前述した自身の不安や所在なさについて考えるうちに、それらの奥に「不在」あるいは「虚無」が存在するのではないかと考えるようになりました(大西作品ではこれまでも、物語や質量から切り離された「不在」としてのがらんどうの家の構造体が度々登場しています)。さらに、大西は自身が言葉ではなくイメージを頼りに思考する傾向があり、それは自身の存在の不安定や所在なさ、ひいては「不在」ゆえに偶像(≒イメージ)を求めるためではないかと仮定します。つまり、イメージが生み出される根源には「不在」がある、という仮定です。イメージを生み出すその「不在」とは何か。何が「不在」なのか。イメージはどこから来て、それを扱うということは何を意味するのか。本展は、イメージと不在、そしてそれらの関係についての新作のインスタレーション、映像、ドローイング、テキストなどで構成されます。


作家略歴

大西 香澄 Kasumi Onishi


1988年 広島県生まれ
2012年 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業
2016年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了

個展
2012年 「サンドイッチ」 児玉画廊 (京都)

主なグループ展
2010年 「垣間見」SPACE/ANNEX (東京)
2016年 「ignore your perspective 33 人見ヶ浦より」児玉画廊 (東京)





《存在の予感》 2010 インスタレーション



《Brain Damage》 2011 パフォーマンス




《ぼくは体育館でひとりぼっちの夢をみる》 2011 インスタレーション





《household effects》 2012 インスタレーション



《Have a nice day.》 2016 インスタレーション


主催:一般社団法人Token
協賛:株式会社ThreePeace、合同会社ONEスマイル
文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業