中野岳 個展 「Relational Dialogue」
会期
2020年10月31日(土)〜11月29日(日) 土日祝のみ 12:00〜19:00
(2020年10月31日、11月1、3、7、8、14、15、21、22、23、28、29日)
※ご来場の際には必ずマスクをご着用いただき、入口にて手指のアルコール消毒にご協力ください。新型コロナの諸症状がある方、体調の優れない方はご来場をお控えください。展覧会紹介
Token Art Centerでは、2020年10月31日より、中野岳個展「Relational Dialogue」を開催します。 中野岳は東京藝術大学で彫刻を専攻。在学中から、日産セドリックを小さな破片になるまで破壊し、溶接等を行いながら元の車体に復元する《バブリーカー》(2011)やパートナーを投石機で飛ばしキャッチする実験を行う《空飛ぶワイフ》(2014)など、桁違いのスケールと独自のユーモアある作品群を制作し、多くの注目を集めました。大学院修了後は現在まで、ドイツ、メキシコ、中国、フィンランドなど世界各地へ滞在し、その土地の文化や風習などに反応しながら制作を続けています。 常に他者や自身を取り巻く環境と関わりながら制作を進めていくのが特徴で、その過程での対話や衝突などから生まれる様々な「変化」こそ中野作品において重要であると考えられます。その「変化」の対象は、個人の精神、身体や人々の関係性だけでなく、それらの前提となっているルールや文化規範をも含んでいるのです。そのコミュニケーションの場としてのスポーツや遊びを度々作品中で扱います。 人々があるスポーツを行うとき、そのルールや使用する道具は固定化され不変のものであり、設定された枠の中でプレイすると考えがちです。しかし、野球やサッカーなどのメジャースポーツでさえ、長い年月と競技者の関係性や試行錯誤の中で、より速く、遠くへ、あるいは楽しむために、ルールや道具は少しずつ変化しています。中野は一見固定化して変化のない人々を取り巻くルールも関係性の進行によって漸次変化しているということを作品の中で提示しようとします。また旧来の彫刻を時間や現象を固定化する作業であるとするならば、それとは逆に中野が行うのはそれらを解きほぐす作業であり、流動的な彫刻を作っているといえるかもしれません。 本展タイトルは「Relational Dialogue」。格闘競技から着想を得てドイツ、メキシコにて制作された未発表作を含む3部作で構成します。そのうち《Relational Boxing》は、当時中野が滞在していたメキシコ・イサマルに残るマヤの螺旋の思想や自然観に基づき中野が考案したボクシングを行う作品です。 参加者は儀式的な行為を経て、外部からの張力で成り立つ七角形のリングの中で3人がボクシングを行います。リングは外部からの張力とリング内の状況からの影響を受けて形を変え、リング内の参加者もまたリングの形状や内部の関係性によって変容してく。参加者と取り巻く環境が相互に影響を及ぼし合いながら循環してくようです。本展では中野がこれまで興味を持って探求してきたスポーツ格闘における関係性の変容が、存分に示される展覧会となります。ぜひご高覧ください。
作家略歴
中野 岳 Gaku Nakano
1987年 愛知県生まれ 東京藝術大学美術学部彫刻科卒業 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了 シュテュットガルド国立美術大学 ディプロマ課程修了 個展 2015年 「Somehow the mosaic looks nice.」 児玉画廊 (京都) 主なグループ展 2018年 「Rezepte für währenddessen und danach」Neuer Kunstverein Aschaffenburg (アシャッフェンブルグ, ドイツ) 2017年 「Zufällige Wiedergabe」Galerie Interart (シュテュットガルド, ドイツ) 2016年 「Bauerwartungsland」Vorderen Gasse 14 und 16 (ヴェルデンスハイム, ドイツ) 2015年 「Behind the traces」Kunstraum Kreuzberg (ベルリン, ドイツ) 2014年 「藝大AM+香川」香川県立ミュージアム (香川)