泥深い川
Muddy River


会期

2020年12月19日(土)、12月20日(日)12:00〜19:00
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、ご来場の際には、マスクのご着用、手指のアルコール消毒にご協力ください。また、お名前・ご連絡先・来場日時の情報提供にご協力をお願いいたします。新型コロナウイルスの諸症状がある方、体調の優れない方はご来場をお控えください。
※各会場で時間ごとに入場制限を設ける場合がございますのでご了承ください。

展覧会紹介

墨田区曳舟で気鋭のアーティストを紹介するToken Art Centerが、元プラネタリウムや空き工場などを舞台にまちなかの各所で展覧会を開催します。参加アーティストは現地制作、リサーチなどを経て、絵画、映像、インスタレーションを発表。すみだの街に散在する人や自然の営為にも注目し、それらとアーティストの作品を交差させ、互いが響き合う展覧会を試みます。曳舟、押上のまちを巡りながら鑑賞する展覧会です。

川には、太古から変わらずあるもの、人の手によって改変されたもの、完全に人工で築造されたもの、あるいは埋め立てられもう見ることができなくなってしまったものなど、様々な位相のものが存在します。そして、それらは地形や地質、重力など自然条件だけでなく人々の思想や文化あるいは政治的な力学などが相克し、混淆し、折衷しながらそれらの形を決定づけているように思います。 一方で、ロバート・スミッソンは、人がアースワークを考える際に経験する、人の心と大地の混淆状態を《泥のような思考》といいます。人の内部の思考と外部の物理的な世界の未分化状態。都市にある構造物を見るとき、それは泥のような思考の産物と捉えることができるかもしれません。 川や道路の線、植物が生み出す有機的な線、空から降る稲妻線、そしてアーティストが描く一本の線は、いかに決定して形づくられるのか。またその線はなにを生み出すのか。本展は各所にちらばる様々な線形をモチーフにしています。

参加アーティスト

赤羽 史亮 Fumiaki Akahane

1984年長野県生まれ。2008年武蔵野美術大学油絵学科卒業。キャリアの初期から現在まで一貫して油絵を制作。絵具と自身の新鮮な関係を求めて、スタイルは固定せず作品ごとに様々な筆触や絵具の扱いを試しながら描く。近作では、自身の周りに広がる社会的抑圧や暴力、不条理など日々の生活の中で感じる違和感をモチーフに、独特のユーモアで描いている。近年の個展に「Compost Paintings」(2019年, アートラボはしもと, 神奈川)、「Against gravity」(2020年, Token Art Center, 東京)。

 


伊阪 柊 Shu Isaka

1990年奈良県生まれ。東京藝術大学美術研究科博士課程在籍。地質や自然環境と、それら周辺で起こる現象や人の営みをリサーチしながら、自然科学と疑似科学の間を行き来するような作品を制作。地下構造などの見えない領域に関心を持ち、そこへどれだけ多弁な想像力を注入することができるかを映像メディアを用いて考えながら、映像特有の説得力を模索している。近年の展覧会に、「Synthetic Mediart 2019」(2019年, EcoARK, 台北)、個展「Periodic Lull」(2020年, Token Art Center, 東京)。

 


泉 太郎 Taro Izumi

1976年奈良県生まれ。作品の展開と研究は同軸で行われ、その過程で発生する摩擦や矛盾も含んだ作品は隠されたルール、人間を形作る環境についての批評となる。身体と映像、画像などのメディア間の往来についての問いは、一見不条理なパフォーマンスや映像、写真やドローイングなどにより提示される。近年の主な個展に、Pan (2017,パレ・ド・トーキョー, パリ)、突然の子供(2017年,金沢21世紀美術館,金沢)、「とんぼ」(2020年,Minatomachi POTLUCK BUILDING、愛知)、コンパクトストラクチャーの夜明け(2020年, タケニナガワ, 東京)、ex(2020年, ティンゲリー美術館, バーゼル)。

 


松永 直 Nao Matsunaga

1980年、大阪府生まれ。2007年ロイヤルカレッジオブアート セラミックアンドグラスプログラム修了。主に粘土や木材を用いた彫刻やペインティングなどを制作。儀式的、元型的な形象に興味を持ち、人類の意識下にひそむ造形的蓄積を探っていくように、自身と目の前にある素材との作用、反作用の往還の中で作品を制作する。近年の展覧会に「Things of Beauty Growing」(2017年, Yale Centre for British Art, コネチカット)、「Barefoot」(2019年, Large Glass, ロンドン)、「New Sculptural Presence」(2019年, Nilufar depot, ミラノ)。

 


柳瀬 安里 Anri Yanase

1993年埼玉県生まれ。2016年京都造形芸術大学美術工芸学科現代美術・写真コース卒業。これまで人間関係や政治的な軋轢の現場などへ自らの身体を投じて行うパフォーマンスのドキュメントを映像作品として発表している。身の回りの出来事を出発点とし、それが何なのかを考えるため、知るためのひとつの方法として作品を制作している。近年の展示に「Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー」展(2019年, 兵庫県立美術館, 兵庫)、「ニューミューテーション#3 菊池和晃・黒川岳・柳瀬安里」(2020年, 京都芸術センター, 京都)。


会場マップ

 

展示会場

Token Art Center

墨田区東向島3-31-14
展示作家:松永直
松永はToken Art Centerに滞在しながら新作のペインティングや彫刻を制作、発表。

北條工務店となり

墨田区東向島3-22-10
展示作家:赤羽史亮、柳瀬安里
柳瀬はデモが行われる国会議事堂前などにおいて、地面に線を引き続けるパフォーマンスを行う映像作品《線を引く》を、赤羽は日々描きためたドローイングを展示。

すみだ生涯学習センター(ユートリヤ)

墨田区東向島2-38-7
展示作家:伊阪柊(1階展示ギャラリー)、泉太郎(4階ドーム)
伊阪は、墨田区周辺をリサーチした新作の映像インスタレーションのほか、火山や地磁気などの周辺環境が都市計画にどのような影響を及ぼしたかを追うSF的な映像作品《Sprout》を、泉はかつてプラネタリウムとして使用されていた球体の会場で新作を現地制作、発表。
icou

墨田区向島5-48-4
展示作家:赤羽史亮
赤羽史亮が新作のペインティングを発表。

周辺スポット

隅田川と荒川

荒川は、北区志茂付近にある岩淵水門で隅田川と荒川という二つの川に分岐する。古代より存在していた現在の隅田川は、たびたび氾濫し都心を浸水させていた。そこで都心から少し離れた位置に隅田川を補完、代替するものとして現在の荒川が人工で築造され、隅田川の増水が抑えられた。
向島百花園

江戸時代後期に開園。「新梅屋敷」と呼ばれる梅の名所だった。その後、中国、日本の古典に詠まれている有名な植物を集め、四季を通じて花が咲くようにしている。四季折々に咲く花や、草木の多い環境を求め、様々な野鳥や昆虫の姿が見られる。
白鬚神社

猿田彦大神は、古事記において天孫降臨の際に地上への道案内をし、道開きの神、正しい方位を示される国土開拓の神として登場する。白鬚神社では猿田彦大神が主祭神として祀られている。
すみだ郷土文化資料館

古代から現在までの墨田区のまちの成り立ちなどに関する展示を見ることができる。
曳舟川通り

この通りはかつて川であった。曳舟川は江戸時代に人工で築造され、上水路、運河として使用されたあと、役目を終え、埋め立てられ現在の道路となっている。
堆積してできた土地

本展の舞台となっている向島や東向島の地区は、古墳時代に隅田川の上流から運ばれてきた土砂が堆積したことで形成されてできた陸地だった。墨田区のそれ以南は当時まだ海中だったが、その後江戸時代に人工的に埋め立てられ陸地が形成された。
複雑に入り組んだ道路

戦災によって多くが焼失した墨田区にあって、本展舞台の東向島の一部や京島は奇跡的に焼け残った地域である。大半が焼失した墨田区の南側、本所エリアは道路が碁盤の目上に区画整理されているのに対し、この東向島、京島エリアの道路は曲がりくねり、複雑に入り組んでいる。どのような都市計画に基づきでこれらの街路は形成されたのだろうか。

開催概要

日程:2020年12月19日(土)、20日(日)12:00〜19:00
会場:icou、Token Art Center、北條工務店となり、すみだ学習生涯学習センター(ユートリヤ)
参加アーティスト:赤羽史亮、伊阪柊、泉太郎、松永直、柳瀬安里
入場料:無料
主催:一般社団法人Token、「隅田川 森羅万象 墨に夢」 実⾏委員会
共催:墨田区
特別協賛:YKK株式会社
協賛:株式会社東京鋲兼
技術協力:株式会社オリハルコンテクノロジーズ
※「隅田川 森羅万象 墨に夢」実⾏委員会 事務局は(公財)墨田区文化振興財団が担っています。

お問合せ

Token Art Center(一般社団法人Token)
〒131-0032 東京都墨田区東向島3-4-14
E-Mail: info@token-artcenter.com