伊阪柊 個展
「Méconnaissance“Tephra” / 無為|非知『テフラ』」


 

会期

2023年1月21日(土)〜2月19日(日)土日祝のみ 12:00〜19:00
(1月21、22、28、29日、2月4、5、11、12、18、19日)


※ご来場の際には必ずマスクをご着用いただき、入口にて手指のアルコール消毒にご協力ください。新型コロナの諸症状がある方、体調の優れない方はご来場をお控えください。

入場料:500円(お茶付き)

展覧会紹介

Token Art Centerでは、2023年1月21日より伊阪柊の個展「Méconnaissance“Tephra”」を開催します。伊阪は、これまで自然科学では説明できない出来事や不可視な現象と人々の営みをリサーチししながら、そこで得られた事実と仮設を用いて、異なる複数の事象や時空を独自の話法によって繋げるような作品を制作してきました。フィールドワークに基づいた3DCG、VR、自作の観測・鑑賞装置を用いて映像特有の説得力を模索しています。
本展「 Méconnaissance“Tephra”」では、これまで制作してきたSp-sシリーズの新作《The Spumoni》を上映します。
Sp-sシリーズとは基本的に自分の住んでいる親しみのある時空間と、どこか遠い時空間との関わりを巡るフィールドワークを行った結果としての映像制作です。これまでの本シリーズにはThe Sprout、The Sprite、The Spindle、The Spandrelがあり、これらはいつも特定の場所と、そこから励起されるオブジェクト(特殊テロワール)が関与します。中心で動く人物は作家自身ではありますが、これと言って作家自身の実存が重要なのではありません。作家の存在はむしろその場所の時空間が持つ構造と、遠い時空間の接続によって発生する物体のイメージの蠢きの間をたださまよっているだけとも言えます。展覧会全体である 「Méconnaissance“Tephra”」は、そのような映像と場所と機材等の動態の総合的なドキュメントとなります。
新作《The Spumoni》で関わるものとしては、火山灰、軽石、年縞、そして仙薬などがあります。Spumoniとはイタリアの氷菓を意味し、この製造過程は大まかに、牛乳を原料に冷やしながら空気を含むように撹拌してクリーム状にし、これらを重ねて作った複数のアイスクリームの層にさくらんぼの塊などを入れるというような流れになります。
この過程は軽石や火山灰の生成のそれと相似的です。地中深くから上昇してきたマグマは急激に低圧低温環境に晒されて発泡しながら冷えて固まり、木っ端みじんになります。《The Spumoni》ではこの層状の氷結構造が、地質学的な時間を探査する尺だったり、映像を駆動させるメディウムだったり、はたまた長時間性を行き来する仙人のための秘薬のような役割を果たします。
また同時に、近作である小道具インスタレーションと映像の複合作品 《Reconnaissance “Tephra”》は、その火山灰や軽石を追跡する主体による対話としてあり、「Méconnaissance“Tephra”」の姉妹編のようなものです。どちらも同じ現象を扱い、そしてどちらもその制作過程から作られたオブジェクト特殊テロワールが登場するのですが、この二つの特殊テロワールは明確にその時間的な質を異にするものです。《Reconnaissance“Tephra”》では認識と行為を行う主体が行方不明になりますが、「Méconnaissance“Tephra”」ではその行方について言及することを試みます。
伊阪にとって約3年ぶりの個展、ぜひご覧ください。




イベント情報

決定し次第、ホームページ、SNSにてお知らせします。

作家紹介

伊阪 柊 Shu Isaka

1990年 奈良県生まれ
2022年東京藝術大学美術研究科博士後期課程修了

個展
2020年 「Periodic Lull」 Token Art Center(東京)

主なグループ展
2022年「ATAMI ART GRANT 2022 “渦- Spiral ATAM”」Participated as “MANTLE(Shu Isaka + Soshi Nakamura)” ホテルニューアカオ (静岡)
2022年「Excitation of Narratives - Each location of Essayfilm」TOKAS(東京)
2022年「New Ecology and Art」the 5the floor(東京)
2021年 「Synthetic Mediart 2021 "Dilemma(rt)”」Huashan1914(台北)
2021年 「Open Space 2021 “New Flatland”」NTT InterCommunication Center(東京)



《Sprites》2021 羽田空港制限表面、電磁波、スプライト


《Spindle》2021 フズリナ、経筒、鷺、秋吉洞


《Spandrel》2021 牛の蹄、電磁波


《Sprout》2018 セントへレンズ山、ポートランド都市区画


《Rehabitable Zone》2022 黄鉄鉱、磁硫鉄鉱、インジウム