畠中瑠夏 個展「ヒッピー幽霊ハックルベリー、草の歯車に移る」
/ Luca Hatanaka solo exhibition "Hippie ghost Huckleberry moves on cogwheel of grass"


 

会期/ Period

2024.6.29(sat)〜2024.7.28(sun) 12:00〜19:00 *only weekends and holidays
(2024.6.29, 30, 2024.7.6, 7, 13, 14, 15, 20, 21, 27, 28)




入場料/ Admission:¥500(with tea)


イベント/Events

オープニングパーティ/ Opening party
2024.6.29(sat)17:00〜19:00





展覧会紹介/ Introduction


Token Art Centerでは、6月29日より7月28日まで畠中瑠夏個展「ヒッピー幽霊ハックルベリー、草の歯車に移る」を開催いたします。
畠中は、制作初期においては絵画などの制作とは別に、地方に赴き儀式や奇祭などのフィールドワークを行なっていました。当初それらは影響し合うことはありませんでしたが、2020年頃から合流していきます。近年は上記の民俗などへの関心と少ないエネルギーで生きていたいという自身の欲求から、日本にかつて存在したとされる放浪民サンカや戦前の乞食などの生活様式を参照し、それらを実践することが作品へと繋がっています。かつての漂泊民に準えて自身が空き地や道端で採取したシュロの葉などを材料に編んだリュックやハンモックを携え、郊外を観察しながらの散策。ただし畠中にとってこの実践は、過去への郷愁でもなければ、消費社会への抵抗を意味するものでもありません。
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自然回帰的なふるまいを引き寄せて川沿いで野宿をし、その経験を綴ったりする。私にとって野宿する行為は、日常の隙間の異世界に入り、また現実に戻ってくる行為だろう。童話の旅人は森に迷い込み不思議な体験をし、明治時代の村人は北へ逃げていく狼の大群を山の中で見た。異世界は現実と地続きであると言える。(畠中の制作に関する覚書より)
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つまり、畠中にとっては上記の実践を経ることは、自らとは別のものの見方を目に宿し現実の異なる位相を見るためのプロセスであり、さらに言い換えれば、それらの実践が自身の意識を変容させ現実を異界へと接続させてくれるものであると言えるでしょう。
作品の制作過程としては、まず実践での気づきや心象の随筆として現れ、それらがドローイングへと移り、またテキストへと還っていき相互に関係していき、内容もまた現実とそれとは異なる次元を往来しながら作品が展開していきます。そして画材として用いられる素材もやはり、実践のフィールドとなる郊外の空き地などで採取したカヤツリグサなどの雑草の茎や葉そのものや、それらから出る染料などです。これらは紙やパネルに書かれた後、当初の緑から茶色へと変化し、そして最終的にはほとんど揮発して見えなくなることもあります。畠中はそれを消えたのではなく、見えない存在となって別のものへと移っていったといえないかと仮説します。そしてその見えない存在が自然科学で説明できない物事を動かしているのではないかと。
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燃やす。熱は変容させてしまう。形のない、人間の目にはにえない集まりに変わったのだ。
物質ではあるけれど人間の見えない方に移ったのだ。
移った先の景色はどう見えるのだろうか。(畠中の制作に関する覚書より)
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タイトルにある「草の歯車」とは畠中によれば、機械の動力を伝達するための「冷たい歯車」ではなく、有機的で細胞分裂を繰り返し増殖していく生命体のような連なりだろうと語ります。そしてそれらを動かすのは前述した見えない存在なのではないかとも語ります。今回の個展では、畠中はこの草の歯車を通して、今自身が生きる現実を見通そうと試みます。展示作品は、雑草を用いた壁画をメインに、また、上記で述べた漂泊民の実践のためにシュロの葉などを自身で編み作ったハンモックやリュック、それらの装備を纏って散策する映像、ミントを押し花のように綴じたテントなどを用いたインスタレーションも発表します。ミントや雑草の香り、それらが運んできた虫も作品のうちの一つとしてご覧いただければと思います。畠中にとって5年ぶりの個展となりますのでぜひこと機会にご覧いただければ幸いです。



作家略歴/Biography

畠中瑠夏 Luca Hatanaka


1995年 東京都生まれ。
2018年 和光大学表現学部芸術学科卒業
2021年 東京藝術大学大学院美術研究科油画修了

グループ展
2023年「SUPER OPEN STUDIO 2023」(神奈川)
2023年「みのかも annual 2023 」(岐阜)
2022年「SUPER OPEN STUDIO 2022」(神奈川)
2022年「ものののこしかた」西会津国際芸術村 NIAV(福島)
2022年「ものののこしかた」東京都美術館(東京)
2020年「SUPER OPEN STUDIO 2020」(神奈川)

個展
2019 「朝の支配から冬のばらまで」art space kimura ASK?



《初夏、川沿い第8世界をたたむ》2022年 シュロの葉、草、土、炭 撮影:川崎順平


《漂流は8の字を描いている》2022年 草、土 撮影:川崎順平


《歯車から見通して見る。生活と仕事と制作について》2023年


《籠を歯車に見てて》2023年 竹、綿布


《行為を籠の上に》2023年 竹、焼き石、紙にインクと透明水彩絵具


《多元的あやとりで決める、あやとりすぎるな》2021年 撮影:松尾宇人


右《ケトルのまわり、舞う》2021年 キャンバスに油彩
左《幻想に侵される》2020年 紙に木炭 撮影:松尾宇人